地域活動の企画から議事録まで！OSS HedgeDoc活用事例
はじめに
地域活動やNPO運営において、会議や打ち合わせは欠かせないものです。しかし、「発言が一部の人に偏る」「議事録作成に時間がかかる」「アイデアがうまくまとまらない」といった課題を感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。参加者全員でリアルタイムに情報を共有・編集できれば、もっと効率的で活発な話し合いができるかもしれません。
本記事では、このような課題を解決するオープンソースソフトウェア（OSS）である「HedgeDoc」（旧CodiMD）に焦点を当てます。HedgeDocは、複数人が同時に同じドキュメントを編集できる共同編集ツールです。特に地域活動の現場で、どのようにHedgeDocを活用し、共同作業をより円滑に進められるのか、具体的な事例を交えてご紹介します。
背景・課題
多くの地域活動では、限られた時間の中で効果的な会議や情報共有が求められます。しかし、以下のような課題に直面することが少なくありません。
- 情報共有のタイムラグ: 会議後に議事録を作成し、共有するまでに時間がかかり、情報が古くなる。
- 発言やアイデアの取りこぼし: 対面や一般的なオンライン会議ツールだけでは、全員の意見をリアルタイムに拾いきれない。
- 文書作成の負担: 企画書や報告書など、複数の担当者で分担して作成する際に、バージョン管理が煩雑になる。
- 情報の分散: 議事録、ToDoリスト、アイデアなどが様々なツールやメモに散らばってしまう。
- 新しい参加者のキャッチアップ: 会議の流れや決定事項を後から追いかけるのが難しい。
これらの課題は、情報共有の遅延や誤解を生み、活動の停滞につながる可能性があります。
導入したOSS/技術：HedgeDoc（旧CodiMD）
これらの課題を解決するために導入を検討したのが、OSSのリアルタイム共同編集MarkdownエディタであるHedgeDocです。HedgeDocは、ウェブブラウザ上で動作し、複数のユーザーが同時に同一のドキュメントを編集できます。Markdown記法（見出しや箇条書きなどを簡単な記号で記述する方法）に対応しており、装飾された分かりやすいドキュメントを簡単に作成できます。
HedgeDocを選んだ主な理由は以下の通りです。
- リアルタイム共同編集: 複数人が同時に編集できるため、会議中に議事録を共同で作成したり、アイデアを書き込んだりするのに最適です。
- Markdown記法: シンプルな記法で、見出し、箇条書き、チェックリスト、表などを記述でき、視覚的に整理されたドキュメントが作成できます。
- 導入の手軽さ: サーバー環境が必要ですが、Dockerなどのコンテナ技術を利用すれば比較的容易にセットアップできます。クラウドホスティングサービスを利用する選択肢もあります。
- オープンソース: 無料で利用でき、特定のベンダーに依存しないため、予算が限られる地域活動やNPOに適しています。
- シンプルで直感的な操作: 専門知識がなくても、ウェブブラウザからすぐに利用を開始できます。
具体的な活用方法
私たちはHedgeDocを様々な場面で活用することで、共同作業の効率化を進めています。
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オンライン・オフライン会議での議事録作成:
- 会議の開始前に、HedgeDocで新しいノート（ドキュメント）を作成し、参加者にURLを共有します。
- 会議中は、特定の担当者だけでなく、参加者全員が気づいたこと、発言内容、決定事項などをリアルタイムに書き込んでいきます。
- アジェンダを事前に記述しておき、それに沿って情報を追加していくことで、漏れなく効率的に議事録を作成できます。発言者は自分の名前やキーワードを書き込むだけでもOKとすることで、発言への集中を妨げません。
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企画・ブレインストーミング:
- 新しい活動やイベントの企画会議で、アイデア出しの場としてHedgeDocを活用します。
- 参加者が思いついたアイデアを箇条書きで次々と書き込んでいきます。Markdownのリスト機能を使えば、アイデアを構造化しやすくなります。
- 関連するアイデアをまとめたり、意見交換の内容を追記したりすることで、議論の過程と結果をリアルタイムに「見える化」できます。
- チェックリスト機能を使って、検討すべき項目やToDoを整理することも可能です。
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簡単な情報共有・資料作成:
- イベントの概要、参加者への連絡事項、活動のルールなどをまとめたドキュメントを共同で作成・編集します。
- 写真や図（Markdownの画像埋め込み機能）を入れることも可能なので、簡単なマニュアルや報告書を作成する際にも役立ちます。
- 編集権限と閲覧権限を分けることで、関係者のみが編集し、一般参加者には閲覧のみを許可するといった使い分けも可能です。
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ToDoリストやタスク管理:
- プロジェクトごとのToDoリストを作成し、担当者や期限を追記します。
- タスクが完了したらチェックボックスにチェックを入れることで、全体の進捗状況を共有できます。
導入効果・メリット
HedgeDocの活用により、以下のような効果やメリットが得られました。
- 会議の効率向上: 議事録作成の負担が軽減され、会議時間内に要点をまとめやすくなりました。参加者がリアルタイムに情報を共有することで、認識のずれも減りました。
- 参加者の主体性向上: 参加者全員が気軽に書き込めるようになったことで、積極的に会議に参加する意識が高まりました。普段あまり発言しない人も、文字でなら意見を出しやすくなったという声も聞かれました。
- 情報共有の円滑化と一元化: 議事録や企画情報がHedgeDocに集約されるため、後から参加した人や欠席者も容易に内容を確認できるようになりました。情報の「どこにあるか分からない」が解消されました。
- 共同作業の活性化: 資料作成やアイデア整理が、複数人で同時に、かつスムーズに行えるようになり、チームでの連携が強化されました。
- コスト削減: OSSであるため、ライセンス費用がかかりません。サーバー費用のみで運用できるため、運営費の削減につながります。
導入のポイント・注意点
HedgeDocを地域活動で効果的に活用するためのポイントと注意点です。
- 導入方法の検討: 自身でサーバーを立ててDocker等で運用する方法と、HedgeDocを提供しているサードパーティのホスティングサービスを利用する方法があります。技術的な知識に自信がない場合は、ホスティングサービスの利用も検討できます。ただし、無料のホスティングサービスは機能や容量に制限がある場合があるため、活動規模に合わせて検討が必要です。
- 使い方の説明: 初めて利用する人には、Markdown記法や同時編集の基本的な使い方を事前に説明する機会を設けると、スムーズに活用できます。簡単なチートシート（早見表）を用意するのも有効です。
- 権限管理のルール化: ノートごとに編集権限を設定できるため、「誰が編集できて、誰が閲覧できるか」といったルールを明確にしておくことが重要です。意図しない編集や情報漏洩を防ぐためにも必要です。
- 情報の整理と保管: ノートが増えてくると情報が散乱しやすくなるため、フォルダ分けやタグ付け、定期的な整理などのルールを決めておくと良いでしょう。
- バックアップの重要性: 万が一のサーバー障害やデータ損失に備え、定期的なデータバックアップは必須です。
まとめ・展望
HedgeDocのようなリアルタイム共同編集ツールは、地域活動における共同作業のあり方を変える可能性を秘めています。議事録作成から企画立案、簡単な資料作成まで、多岐にわたる場面で活用でき、参加者の主体性向上や情報共有の効率化に大きく貢献します。
技術的な導入ハードルはゼロではありませんが、Dockerを活用したり、既存のホスティングサービスを利用したりすることで、比較的容易に導入を開始できます。Markdownというシンプルな記法を覚えるだけで、共同作業が格段にスムーズになる効果は、試してみる価値があるでしょう。
今後もHedgeDocをはじめとするOSSを活用し、地域活動の運営をさらに効率化し、参加者全員がより深く活動に関われるような仕組みづくりを進めていきたいと考えています。